ちょっと変わっている三舟シェフ、三舟を慕う志村、ソムリエの金子、そして”僕”ことギャルソンの高築の4人で営業するレストラン〈ビストロ・パ・マル〉を舞台にしたシリーズ第2弾。
その三舟シェフがフランスのストラスブールを再訪した際に、1番美味しいと言われるヴァン・ショーを購入するが、明らかに味が落ちていた…
近藤史恵さんの『ヴァン・ショーをあなたに』を読みました。
あらすじ
フランス、ストラスブールのマルシェで、1番美味しいと言われるヴァン・ショーを作るミリアムおばあちゃんの店でヴァン・ショーを買ったが、明らかに味が落ちていた。
そもそも、ミリアムおばあちゃんは白ワインでヴァン・ショーを作ることはなかったはずだ。
ミリアムおばあちゃんに話を聞くと、もう赤ワインでヴァン・ショーを作ることはないと言う。
感想
「〈ビストロ・パ・マル〉シリーズ」の第2弾です。
もう3冊目か4冊目くらいかなぁと思いながら読んでいたのですが、人の記憶（自分の記憶？）って、あてにならないもの。
でも、それだけ前作『タルト・タタンの夢』の印象が強かったってことですよね。
シェフが2人、ソムリエ1人、ギャルソン1人で回している小さなビストロ〈パ・マル〉。
フランス帰りのシェフ・三舟さんが探偵役になっているのですが、少し変人という設定。
それでも、人間臭い一面を見せることがあったりと、三舟シェフに対するイメージが膨らみました。
『氷姫』、『天空の泉』、『ヴァン・ショーをあなたに』の3作品は、〈ビストロ・パ・マル〉を離れた作品。
はじめは、〈ビストロ・パ・マル〉のメンバーの顔をもっと見たいなぁと思いながら読んでいましたが、こういう作品も良いかも。
表題作のほか、『錆びないスキレット』、『憂さばらしのピストゥ』、『ブーランジュリーのメロンパン』、『マドモワゼル・ブイヤベースにご用心』、『氷姫』、『天空の泉』が収められています。
『錆びないスキレット』
店の周りに居着いてしまった黒猫を、常連客の田上さんに譲ったが、ある日、田上家に元々いた猫と一緒に帰ってきてしまった。
『憂さばらしのピストゥ』
肉や乳製品を食べられないという、2人組の女性ベジタリアンがやってきた。
1人は、オーナーや志村がよく知るシェフの店の出資者らしい。
『ブーランジュリーのメロンパン』
〈ビストロ・パ・マル〉のオーナーが、近所にパン屋を出すことになった。
近くには以前からパン屋があるのだが、客層が被らないという判断らしい。
『マドモワゼル・ブイヤベースにご用心』
三舟シェフが、気になる客がいると言う。
その人は、店に来るたびにブイヤベースを注文する女性なのだが…
『氷姫』
ぼくが愛した女性・杏子が、ほかの男と一緒に出て行ってしまった。
〈ビストロ・パ・マル〉で事の顛末を話すと、意外な理由を指摘された。
『天空の泉』
恋人と別れた江畑は、南仏の町へやってきた。
そこのレストランで、フランス料理修業中の三舟と偶然知り合う。
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