華やかな遊園地のパレード、レストランでの食事、その夜、両親は家に火を放って一家無理心中を図ったが、1人睡眠薬を飲まなかった幸子だけが助かった。
そして17年後、墓参りをした幸子が見たのは近くの墓石の前で気を失った女性だった。
女性は子供たちを乗せた車で海にダイブしたが、1人生き残った人物だった。
下村敦史さんの『悲願花』を読みました。
あらすじ
山上幸子は小学生の時、久々の家族旅行で遊園地に行ったあと、母親から睡眠薬を渡され、家に火を放たれた。
当時、毎晩のように借金の取り立てにあっており、それを苦にした無理心中だった。
1人睡眠薬を飲まずに助かった幸子だったが、17年後に家族の墓参りをしたとき、近くの墓石の前で気を失った女性・雪絵と出会う。
雪絵は5年前、衝動的に子供たちを乗せた車で海に飛び込み無理心中を図ったが、1人生き残っていた。
感想
重いテーマの話でした。
無理心中に巻き込まれて生き残った幸子と、無理心中を図って生き残った雪絵。
2人の間に連帯感が生まれるのかな?と思ったのですが、幸子は被害者、雪絵は加害者ということで、幸子は雪絵に対して擬似的な復讐心を抱くことになります。
それでも鬼にはなりきれず、雪絵の世話を焼く幸子。
最後は自暴自棄になっていく幸子ですが、それがどう纏まるのかがこの作品の魅力になっています。
第1章が婚活パーティーの場面だったので、先に読んだ秋吉理香子さんの『婚活中毒』に続き、2作続けて婚活の話になるのかなぁ?と思ったのですが、そこから思わぬ展開に。
無理心中の被害者という意識にとらわれながら生きてきた幸子ですが、今度は自分の幸せもつかんでもらいたいものです。
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