【読書】下村敦史『サイレントマイノリティ 難民調査官』

下村敦史 ├ 下村敦史

難民申請しているシリア人親子にインタビューをすると、父親は自国でアサド政権から迫害され、妻と息子、娘が命を落としたと証言し、日本に逃れてきた娘は、自分たちは平和な生活をしていて、母も姉も生きていると証言する。
食い違う証言の真相は…

下村敦史さんの『サイレントマイノリティ 難民調査官』を読みました。

あらすじ

新宿の路地裏で、シリア人イスマイール・バスマが心臓を一突きにされて殺害された。
一方、難民調査官の如月玲奈は難民調査官補の高杉と共に、難民申請しているシリア人ナディーム・アワドのインタビューを行う。
ナディームは自国でアサド政権から迫害され、妻と息子、娘が命を落としたと証言する。
しかし、ナディームと共に日本に逃亡してきた娘のラウアは、私たちは平和な生活をしていて、母も姉もシリアで生きていると答える。

感想

『フェイク・ボーダー 難民調査官』の続編です。
難民調査官って、本当に大変な仕事。
人ひとりの命を左右するということもそうですが、日本にいながら、自国で迫害を受けていたかを判断しなければならない。
『フェイク・ボーダー 難民調査官』では、如月自らが現地に乗り込みましたが、今回は続けてそんな無茶をやらかすわけにもいかず…
そこで出てくるのが、現地で取材をしている元難民調査官の長谷部なわけですが、そこが上手いんですよね。
如月が自ら乗り込んでいたのでは、こうはいかなかったでしょう。

ジャーナリストといえば、難民受け入れ賛成派の記者・山口が随所に出てくるのですが、自分の主張に合わせて記事の印象操作をするといったなかなかの人間。
はじめはこういうヤツ嫌だなぁと思うのですが、だんだんとなくてはならない存在になっていくのが不思議。

父と娘で正反対の回答をする理由は最後に明らかになるわけですが、そこからが本当の思案の時だったりします。

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