中山七里さんの『鬼の哭く里』を読みました。
あらすじ
戦後、GHQの指示により地主から一農民に格下げされた巌尾利兵衛は、元小作人だった村人たちへの怨みを爆発させ、殺人鬼と化した。
6人を殺害した利兵衛は山へ逃げ込み、いつしかその山は鬼哭山と呼ばれるようになり、大雨が降り、暴風が吹き荒れる夜に、山で人が死ぬようになった。
コロナ禍の姫野村に、東京の証券会社に勤める麻宮が転地療養のために引っ越してきた。
しかし、排他的な村人たちは、コロナの感染源や、台風の夜に死亡した年寄りの原因を、麻宮のせいだとする。
感想
んー、私の苦手なタイプの話。
排他的で無学で理論が通用しない、思い込みと感情で行動する村人たち…
こうなってしまうと、何をやろうが、何を言おうが意味をなさないんですよね。
こういう人を相手にするのが一番嫌い。
主人公の天木裕也が早く村を出たいと思うのもよくわかります。
(まぁ、それでもページをめくる手は止まらないんですけどね)
飛んで火に入る夏の虫になってしまった麻宮も災難ですが、この話を読まされた私の方も災難と言えるのではないかと…
麻宮の身に起きる災難に気をとられがちですが、嵐の夜に聞こえてくる巌尾利兵衛の哭き声や、死人が出る理由を解き明かしたのは見事。
作者は逆から物語を見ているとはいえ、よく思いつくものだなぁと、毎回感心してしまいます。
排他的な村人たちというところに、コロナ禍を持っていったところが勝因だったかなぁと感じました。
コメント
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私も予約していますが、読まれた方はあまりいい感想がないですね(^.^;
逆に楽しみかも?!(笑)
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>takakoさん
コメントありがとうございます。
裏付けもなく、コロナ患者の発生を東京から来た移住者の責任にしたり、台風の夜にハウスを見に行って亡くなった年寄りを殺害したことにしたりと、排他的で理屈の通らない村人たちの言動を読むのは正直つらいです。
ただ、村人たちの言動とコロナを合わせたところや、最後は少し風向きが変わるあたりなど、物語としては面白いなぁと思いました。
村人たちの言動がどこまで物語だと割り切れるかにかかっているかなぁと思います(^^)