岡崎琢磨さんの『珈琲店タレーランの事件簿7 悲しみの底に角砂糖を沈めて』を読みました。
あらすじ
『ビブリオバトルの波乱』
全国の高校生が集まって、オススメの本のプレゼンテーションをするビブリオバトルが開催された。
主催者のスタッフの1人・徳山実希が目を離した20分の間に、決勝のプレゼンテーション順を決めるための抽選箱にいたずらがされてしまった。
これで調子を崩してしまった榎本純に謝罪するため、実希は京都にある喫茶店〈タレーラン〉を訪れる。
感想
「珈琲店タレーランの事件簿シリーズ」の第7弾です。
第4弾以来の短編集となっていますが、今回はバリスタの切間美星を俯瞰したような視線から描かれています。
作品によっては、「女性店員」ですまされていて、美星の名前すら出てこないことも。
アオヤマにいたっては、最後の作品で「男性店員」として出てくるだけだったり。
4編の短編と3編の掌編から成っているのですが、短編はすべて岡崎琢磨さんが見聞きした出来事が始点になっているのだとか。
ゴールから考えるのではなく、スタートから考えていくのはいつもと勝手が違って難しそうですが、そんなことを感じさせない見事な出来栄えでした。
このほか、『歌声は響かない』、『ハネムーンの悲劇』、『フレンチプレスといくつかの嘘』、『ママとかくれんぼ』、『拒絶しないで』、『ブルボンポワントゥの奇跡』が収められています。
『歌声は響かない』
文化祭の合唱の練習で口パクをしていたことを咎められた峰岸沙羅を、音痴だから練習中なのだと切間美星がかばった。
『ハネムーンの悲劇』
加納七恵の姉・海鈴は、ハネムーンに向かう途中、事故で生死の境目をさまよった。
意識を取り戻した海鈴は、ハワイに行って買ったお土産のコーヒー豆がキャリーバッグに入っていると言う。
『フレンチプレスといくつかの嘘』
〈タレーラン〉に呼び出された”私”は、好きな人ができたと別れ話を切り出された。
『ママとかくれんぼ』
離婚した母の現夫に京都まで呼び出された結城英美里は、母が乳がんで入院しているため、見舞って欲しいと依頼される。
『拒絶しないで』
美星は、店に来た男子大学生から告白を受ける。
友達からならと返事をするが…
『ブルボンポワントゥの奇跡』
河野鈴海との結婚に迷っていた浅井一太は、1度鈴海と距離を置いて考えることにする。
そんな時、10年前に付き合っていた反町葵から電話がある。しかし、一太は新しい電話番号を教えていなかったはずなのだが…
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