【読書】秋吉理香子『ガラスの殺意』

秋吉理香子 ├ 秋吉理香子

秋吉理香子さんの『ガラスの殺意』を読みました。 

 あらすじ

19年前、柏原麻由子は、通り魔によって両親を殺害された。
そして、麻由子自身も通り魔から逃れるために車道に飛び出したところを車に轢かれ、記憶障害を患っていた。
ある日、ふと気付くと、手に血まみれの包丁を持っていて、傍には男性の死体が。
自ら110番通報をしたのだが、病院で目覚めると、事件のことはすべて忘れていた。

感想

事件の真相については、常に半歩先を行っていたかなぁという印象。
ただ、最後に泣かせるシーンが用意されていたのは予想外でした。
記憶障害の妻を献身的に支える夫の光治と、母の介護に疲れた刑事の桐谷優香。
光治に感情移入してしまう優香だからこそ辿り着けた事件の真相。
最後には母との距離感を掴むことができて、そういう考え方もあるんだなぁと。

記憶障害を患っていて、新しい記憶は10分から20分しかもたない。
そんな状況下で、いかに新しい記憶を残しておくか。
想像だけではない試行錯誤の跡が見えるような気がしました。

それにしても、パートナーから、1日に何回も「あなた誰?」と聞かれるのは、どういった気分なのでしょうか。
想像するだけでもぞっとすることを続けてきた光治の真似をすることは、私にはできないんじゃないかと思ってしまいます。

つらく、重い雰囲気に包まれていますが、最後には空が澄みわたるような気分に。
機会があれば、ぜひ手に取ってみてください。





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