太田愛さんの『犯罪者』を読みました。
あらすじ
駅前広場で、男女5人が刺され、4人が死亡するという通り魔殺人事件が発生した。
犯人は、近くのビルの共同トイレで、急性薬物中毒で死亡しているのが発見された。
一方、前年の12月中旬から翌年1月中旬までの間、顔の組織が壊死するというメルトフェイス症候群が発生。罹患者は月齢7ヶ月から9ヶ月の乳幼児に限られ、全国9都市で124名の患児を出した。
感想
文庫本にして、上下巻で960ページ余りの長編。
この長さでも、読んでいて長さを感じないものもあれば、まだこんなにあるのかぁと、実際以上に長く感じるものも。
この作品は、私にとっては後者。
特にはじめの1/3くらいが長かった。
事件の全貌が見えてくるにつれ、面白くはなってくるのですが、上巻だけで終わっても良いんじゃない?って思うところから、ずるずると引き延ばされている感じ。
下巻はペースアップしましたが、それでもやっぱり間延びしている感じを受けました。
特に、後日談のところは、さらっといって欲しかったな。
あと、メルトフェイス症候群の原因として、中国の農園で使用された出所不明の肥料が挙げられていましたが、それであれば、中国で日本とは何桁も違う数のメルトフェイス症候群罹患者が出たはず。
そのあたりも少し詰めが甘いかなと感じました。
話としては面白かったのですが、やっぱり必要以上の長さを感じたのがマイナス点でしょうか。
文庫本で1冊くらいの作品があれば、もう1冊手に取ってみてもいいかな?と思いました。
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