米澤穂信さんの『栞と嘘の季節』を読みました。
あらすじ
図書委員の堀川次郎がカウンターの当番をしているときに、『薔薇の名前』という本の下巻が返却箱に入れられた。
返却された本の間に忘れ物がないか確認していたところ、押し花をラミネート加工した栞が挟まれていた。
その花を見て、同じく図書委員の松倉詩門は、トリカブトの花であることに気づく。
さらに、生徒指導部の横瀬がトリカブトの毒の症状で救急搬送される。
感想
「図書委員シリーズ」の第2弾です。
第1弾の『本と鍵の季節』は、連作短編でしたが、この『栞と嘘の季節』は長編。
トリカブトの押し花が使われた栞の謎に挑みます。
米澤穂信らしく、高校を舞台にした日常の謎…と言いたいところですが、劇薬のトリカブトが関わるということで、ちょっと物騒な話になっています。
確か、トリカブトの毒は根にあったと思うんだけどなぁと思いながら読んでいたのですが、調べてみると、特に根にあるそうですが、草全体にも毒性があるそうです。
ついでに、トリカブトの花の写真も見ましたが、綺麗で可愛い花。これなら、押し花にして栞にしたくなる気持ちもわかります。
物語の方は、拡がりすぎず、狭まりすぎずで、良いスケール感で進んでいくのですが、終盤になっても、最後のピースがピタッと収まらない、というか、重要なピースがいくつか抜けている状態。
これをどう収めるのかな?と思いながら読んでいたのですが、見事、スマートに収めてしまうところが、さすが米澤穂信さん。
なんて言えば良いのかなぁ。
全体的にちょっとリアリティに欠けていたような気がするのですが、楽しい読書でした。
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