歌田年さんの『紙鑑定士の事件ファイル 偽りの刃の断罪』を読みました。
あらすじ
コスプレを趣味にする男性・張本善浩が自宅で殺害された。
窓ガラスをハンディ・バーナーで焼き切られ、自宅の一部も焼かれていた。
警察は、かつて三角関係にあった春美真久を容疑者として取り調べるが、神奈川県警の石橋和男刑事は、かつてから面識のある春美の犯行には思えないという。
感想
『紙鑑定士の事件ファイル 模型の家の殺人』の続編です。
出版不況が叫ばれる中、紙業界はますます下火になっていくのかなぁと思いきや、様々なアイデアでそんな状況を乗り切ろうとする会社があるんですね。
脱プラスチックを進めるため、レジ袋をビニルから紙に変えるといった話も聞きます。
さらに突き詰めていくと、この作品に挙げられているような商品まで!
紙の可能性というのは、まだまだ拡がっていきそうだなぁと感じました。
今回の事件の落とし前のつけ方は、どちらを選んでも辛い選択だよなぁと…
本来は真相を明らかにすべきなんだけど、もう1つの選択肢を選びたいという気持ちもよくわかります。
なんとか両立させてやりたいんだけど…と、ただの謎解きに終わらず、人情にまで踏み込んだところが良いなと思いました。
どうやら、第3弾も出ているようですね。
是非、読んでみたいと思います。
表題作のほか、『猫と子供の円舞曲』、『誰がための英雄』が収められています。
『猫と子供の円舞曲』
紙鑑定士の渡部圭の事務所を、9歳の女の子・古戸梨花が訪ねてきた。
紙は紙でも、粘土の玉が特定の紙粘土でないことを調べてほしいという。
粘土の玉には猫の毛と血が付着しており、近くには片目に傷を負った猫がいたらしい。
その猫を傷つけたのが、クラスの男の子ではないことを確認したいという。
『誰がための英雄』
原型師の團文禰は、知人に頼まれてアメコミ『B.O.D.Y GUARDS』のヒーロー、ブルーライダーのフィギュアを製作したが、12歳の男の子はそれが気に入らないという。
さらに、『B.O.D.Y GUARDS』の2巻にも不備があると言い、何冊買ってきても違うと言い張る。
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