小路幸也さんの『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ』を読みました。
あらすじ
『真っ赤な紅葉はなに見て燃える』
下町の古書店〈東京バンドワゴン〉に、脚本家の岸田安見がやってきた。
偶然にも、安見は近所に住む増谷裕太の、高校の同級生だった。
その安見が、フェアとして並べていた川田鉄の作品をすべて欲しいと言う。
一方、小学生の名塚のぞみが、本を売りたいとやってくる。
勘一は、本は買い取らずに、親への手紙と百円をのぞみに渡す。
我南人がのぞみのあとをつけると、コンビニでお菓子を買ったあと、寒い公園で1人本を読んでいたという。
感想
「東京バンドワゴンシリーズ」の9冊目です。
相変わらずにぎやかな堀田家。
同じ日に生まれた従姉妹、かんなちゃんと鈴花ちゃんも、もうすぐ4歳ということで、言うことやることずいぶんしっかりしてきた様子です。
しかし、子供が産まれ、成長していく一方で、大人は歳をとり、やがて別れを迎えることも。
これだけは自然の摂理なので、仕方がありませんね。
毎回本にまつわる厄介ごとを、丸く収めようとする勘一たちですが、最後は本人に任せているところが好きだったりします。
こちらの意見を押しつけるのではなく、「こうしてみては?」と、やさしく語りかけているのが印象的。
そんなところが、我南人の「LOVEだねぇ」という言葉に繋がっているのかも知れません。
でも、トマトに納豆っていうのは!
この他、『蔵くなるまで待って』、『歌って咲かせる実もあるさ』、『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ』が収められています。
『蔵くなるまで待って』
IT企業社長の藤島が、〈東京バンドワゴン〉の蔵に眠る古典籍や書類をデジタルアーカイブしないかと持ちかけてきた。
一方、フリーラーターの仁科由子が、サチの生家である五条辻家の秘密を追って、〈東京バンドワゴン〉までやってきた。
『歌って咲かせる実もあるさ』
朝食の最中、勘一が腹を押さえて苦しみだした。救急搬送されたが、盲腸で手術をして無事に回復。
一方、カフェの常連客の薫子さんが、古銭で会計をするようになった。周囲は、痴ほうがはじまったのではないかと心配するが…
『オール・ユー・ニード・イズ・ラブ』
研人のガールフレンド・芽莉依が、夏休みの間中古レコードと中古CDを置かせて欲しいと言ってきた。親戚が中古レコード店を閉めるので、在庫を売りたいのだという。
一方、研人が高校へ行かないと言い出した。ロンドンでロックに浸りたいのだという。
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