知念実希人さんの『優しい死神の飼い方』を読みました。
あらすじ
人間の死後の魂をあの世へ送る手助けをしている死神のレオは、未練を持って死に、地縛霊となって地上に残る魂が多いことを理由に左遷され、犬の体を借りてホスピスで人間の未練を解消する役割を与えられた。
戦時中の悲恋や、洋館で起きた殺人事件など、ホスピスで過ごす人間たちの未練を消すため、レオが奮闘する。
感想
私にとって、知念実希人さんはちょっと苦手な存在です。
好きな作家さんなのですが、なぜか作品を手に取るのをためらってしまいます。
1度読みはじめると、すぐに作品の世界の中に入り込み、あー面白かったと、本を閉じるのですが、なぜかまた次の作品を手に取るのが…
この感覚はいったい何なのでしょうね。
この『優しい死神の飼い方』は、「死神シリーズ」の1作目なのですが、私の頭に浮かんだのは、赤川次郎さんの「天使と悪魔シリーズ」。
あのシリーズでは、成績不良で地獄を叩き出された悪魔が黒い犬になって、女の子の姿を借りて地上に降りてきた天使と旅をするという話ですが、何だか似ているなぁって。
あと、章のタイトルも、『死神、初仕事にとりかかる』、『死神、殺人事件を解明する』、…の「死神」の部分を「鼠」に変えると、赤川次郎さんの「鼠シリーズ」のタイトルみたいになるなぁなんて。
レオが解消するホスピスの患者たちの未練は、なかなか味わい深いもの。
医師免許を持つ知念実希人さんらしい記述も所々に織り交ぜられていて、このシリーズは”当たり”なんじゃないかなって思いました。
ただ、後半で皆が探すアレの行方は、私はすぐにわかったのですが、ずいぶん引っぱったなぁという印象を受けました。
たまたま私のカンが冴えていただけだったのかな?
最後は大きく息をはいて、「面白かった」と本を閉じたのですが、また次の作品を手に取るのに躊躇してしまうのでしょうか?
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