下村敦史さんの『失踪者』を読みました。
あらすじ
真山道弘は、樋口友一とともにシウラ・グランデ峰の西壁を極めようとしていたが、吹雪に見舞われ、結果的に樋口はクレバスへ転落してしまった。
10年後、真山はふたたびシウラ・グランデ峰を訪れ、樋口の遺体を発見するが、その顔は、真山が最後に見た樋口のそれよりも老けていた。
さらに、所持品の中には、5年前に発売された装備が混じっていた。
感想
やっぱり、下村敦史さんの作品は面白いわぁと実感。
『告白の余白』にノックアウトされて、『絶声』、『アルテミスの涙』、『ヴィクトリアン・ホテル』、『同姓同名』と、読みましたが、いずれも趣が違う作品なのに、どれも面白い。
マイベストはやっぱり『告白の余白』ですが、この作品は2番目にくるかなぁ(まだ読んだ作品数が少ないですが…)
最後は少し難解ですが、置いていかれるほどではありません。
新たな事実が1つ明らかになるたびに、1つため息をつくって感じ。
本人が亡くなってしまっているのに、事実を明らかにしていく…
大倉崇裕さんの『聖域』でも思いましたが、これが山岳ミステリの醍醐味なのかなって。
主に出てくる登山家は4人。
一緒に山に登る相手には命を預けることになるため、固い絆で結ばれているのですが、その形も様々。
こういった作品を読むと、山に登ってみたくなるのですが、それは山に魅せられてなのか、それとも固い絆を求めてなのか…
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