中山七里さんの『いまこそガーシュウィン』を読みました。
あらすじ
ショパンコンクール入賞者のエドワード・オルソンは、人種差別が激化する母国アメリカを憂い、カーネギーホールでのコンサートで、ガーシュウィン作曲の『ラプソディ・イン・ブルー』を演奏しようと考える。
さらに、集客力を懸念するマネージャーのセリーナに対し、同じくショパンコンクールファイナリストの岬洋介との2台ピアノを提案する。
一方、殺し屋の〈愛国者〉は、新大統領の暗殺依頼を受ける。
感想
「岬洋介シリーズ」の第8作です。
舞台はトランプ前大統領が大統領に就任した2016年のアメリカ。
BLM(Black Lives Matter)運動が激化し、それに対して白人主義者による弾圧が発生し、国内情勢が不安定になっていた時代…
そんな情勢に音楽で打破しようと考えたエドワードは、コンサートで『ラプソディー・イン・ブルー』を演奏することを思いつきます。
『ラプソディー・イン・ブルー』は、そのタイトルを知らなくても、1度は聴いたことがあるのでは?と思われる名曲。
「多様性」を狙いに込めて作曲された曲で、反トランプや、反白人主義の象徴として使われています。
これまでの「岬洋介シリーズ」と比べると、演奏の描写は控えめ。
その代わり、カーネギーホールでの演奏会を観に来たトランプ前大統領を〈愛国者〉が狙うというところで、サスペンス性を高めています。
巻末には、次作『とどけチャイコフスキー』の予告が。
さらに、『連続殺人鬼カエル男完結編』の予告まで!
これからも、中山七里さんからは目が離せそうにありません。
コメント