小路幸也さんの『花咲小路二丁目の花乃子さん』を読みました。
あらすじ
井筒めいは、いじめが原因で高校をやめ、従姉の韮山花乃子が営む花屋で働きながら、高卒の資格を取るための勉強をすることにした。
両親を事故で亡くし、十代で店を継いだ花乃子は、訳ありの客が花を買いに来ると、それを察してしまうという特殊な能力を持っていて、花言葉に込めた思いでお手伝いをすることがあった。
感想
「花咲小路シリーズ」の3作目です。
『花咲小路四丁目の聖人』、『花咲小路一丁目の刑事』でもちらっと出ていた花屋さんでのお話。
主人公は店主の花乃子さんなのですが、花乃子の従妹・井筒めいの視点で物語が語られていきます。
ちょっと不思議な能力を持つ花乃子さんですが、その能力を発揮しているときがわかるめいも、ちょっと不思議な女の子?
漫画家の藤子・F・不二雄さんは、SFを「少し不思議な物語:Sukoshi Fushigi」の略だと言っていたそうですが、まさにそんな言葉がぴったりとくる物語。
人と人とのつながりという、もっとも基本的で、かつ、現代希薄になりかけているところの大切さを思い出させてくれるこのシリーズ。
読んでいるとあたたかい気持ちになってきます。
最後は、「およよ!」って感じで、すべてがまぁるく収まるのですが、うまくここまでの道筋をつけたなぁと、感心してしまいました。
何を企んでいるのかまったく悟らせずに、予想を何倍も上回る結果を引き出してくる。
これまで読んできた(といっても、多くはありませんが)小路幸也作品の中でも、1番好きな纏め上げ方でした。
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