【読書】中山七里『秋山善吉工務店』

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中山七里さんの『秋山善吉工務店』を読みました。

あらすじ 

秋山雅彦、太一の兄弟は自宅が全焼し、母・景子とともに焼け出された。
1人2階で寝ていた父・史親は焼死。
3人は、工務店を営む史親の実家の世話になることを決める。
史親の父・善吉は、無愛想な態度にべらんめぇ口調、古色蒼然とした考えを持つ雷オヤジ。
景子は善吉の家を出て、3人で新たな家庭を作ることを考えるが、なかなかうまくいかない。
さらに、警視庁の刑事・宮藤が、景子に放火の疑いの目を向ける。

感想

文庫版では少し柔和な顔になっているようですが、単行本版の表紙に書かれた善吉の顔はかなり厳ついもの。
手に取ってみたものの、読もうかどうか少し悩んでしまいました。

内容としては、いじめや半グレ、モンスターペアレントなど、雅彦、太一兄弟や景子が直面する問題を、江戸っ子気質の善吉が解決していくというもの。
ただ、かなりこじれるので、精神的に余裕がないと、少し辛いものがあります。

秋山家の火事を調べている宮藤刑事は、『魔女は甦る』に出てきた人物だと思うのですが、ちょっとイメージが違っていました。
今回は嫌われ役。善吉にもいいようにやられています。

出火原因については、ひょっとして最後までわからないまま?と一瞬思ったのですが、最後にちゃんと用意されていました。
そういえば、伏線部分を読んだときに、「おや?」と思ったのを思い出しました。
その時は宮藤の追及がはじまっていなくて、読み飛ばしてしまったのですが…

善吉らしい終わり方。
そして、善吉らしさというものを、この1冊で読者に植え付ける中山七里さんの筆力に脱帽でした。

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