周木律さんの『双孔堂の殺人』を読みました。
あらすじ
Y湖畔にそびえる〈ダブル・トーラス〉という名の、大きな鍵の形をした建物。
ここに、数学者らが集まった。
しかし、建物の主・降脇一郎が書斎で、鰐山豊が客室でそれぞれ殺害されてしまう。
双方の部屋は密室になっており、書斎の中には、凶器の銃を持った十和田只人が倒れていた。
妹に頼まれ、十和田のサインをもらうために〈ダブル・トーラス〉を訪ねた警察庁の宮司は、偶然事件に巻き込まれることになるが…
感想
『眼球堂の殺人』に続く、「堂シリーズ」の第2弾です。
前回、『眼球堂の殺人』のときには、「ガチガチの理系ミステリではないので、文系の方でも大丈夫」とか、「数学に関する難しい話のほとんどは、右から左へ聞き流してしまって問題ありません」といったことを書いた記憶がありますが、今回はやたらと数学の話が出てきます。
まるで、周木律さん自身が、読者をふるいにかけているような気も…
私は理解はできないものの、苦にはならなかったので適当に読み流していましたが、途中で挫折する方も多いのではないかと。
また、ギリシャ文字が多く出てくるのも特徴ですね。
私自身、使ったことのあるギリシャ文字は少ないので、「これはなんて読むんだったっけ?」と、頭をフル回転させながら読んでいました。
そんな周木律さんは、建築学科の出身だそうで。
〈眼球堂〉も、今回の〈双孔堂〉も、「建築基準法的には完全アウト」と書かれているとおり、空想の中の遊び心のある建物になっているようです。
また、登場人物の名前も難解。
珍しい名前は一発で覚えられるというメリットがあるものの、難読漢字については、覚えきれないというデメリットも…
ただ、濱嘉之さんの『巨悪利権』を読んだ直後だったので、「毒島」を「ぶすしま」と読むことは、すっと頭の中に入ってきました。
『巨悪利権』を読んでいない方には、何のことやらまったくわからないでしょうけど…
今回は密室トリックが用いられていますが、トリックとしては物足りないでしょうか。
トリックを暴くことが最大の目的ではないにしろ、もう少し捻ってほしかったなぁと思いました。
コメント