新川帆立さんの『元彼の遺言状』を読みました。
あらすじ
弁護士の剣持麗子は、プロポーズに渡された指環の小ささに激怒。
さらに、ボーナスを減らされたことに激怒し、弁護士事務所を飛び出してしまう。
元彼の森川栄治に「久しぶり!元気?」と何の気なしにメールを送ったら、栄治が死亡した旨の返信が届く。
栄治は生前、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」と、遺言を残していた。
感想
のっけから、指環の小ささを理由にプロポーズを断るシーンに吹き出してしまいました。
ユーモラスな小説なんだなということが、読みはじめた瞬間にわかります。
お金にがめつく、超強気な弁護士・剣持麗子。
この麗子が一皮剥けるという側面をもっているのかな?と思いながら読んだのですが、果たして変わったのでしょうか?どう思われたかが気になります。
話の中に出てくる「競争的贈与(ポトラッチ)」の話が印象的でした。
部族間で、貰ったもの以上のお返しをすることというルールに基づいて、贈り物をしあい、どちらかがお返しをできなくなると潰れてしまうという風習だそうですが、うんちくとして取り入れるだけでなく、物語の根幹にも関わる話にしているところが絶妙でした。
最後は少し複雑で、気をつけて読まないと、置いていかれそうになりました。
が、順々に伏線を回収していく様は一見の価値あり。
突拍子もない設定でしたが、面白く読ませていただきました。
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