乾くるみさんの『イニシエーション・ラブ』を読みました。
あらすじ
大学4年生の鈴木夕樹は、人数合わせのために参加した初めての合コンで、運命の女性・成岡マユコと出会う。
不器用ながらも付き合いだした2人だったが、地元企業に就職した鈴木が、2~3年の期間、東京の本社へ派遣されることが決まる。
週末ごとに下道を車で飛ばして静岡にいるマユコのところに通う鈴木だったが…
感想
ミステリと聞かされていなければ(聞かされていても?)、恋愛小説だと思ってしまう作品。
しかし、最後から2行目に罠が仕掛けられています。
再読必須というのがわかる気がします。
この鈴木夕樹という主人公が、どこか自分に重なるような気がして、若かった自分を思い出しながら読んでいました。
遠距離恋愛も経験したし(というか、ずっと遠距離でした)、東京への転勤も経験したし。まぁ、ほかにも共通点がいくつか…
物語は、大きく「side-A」と「side-B」に分かれていて、「side-A」が鈴木夕樹から見た物語だったので、「side-B」は成岡マユコから見た物語になるのかなぁ?と思いきや、そのまま鈴木夕樹の視点で物語が進んでいきます。
「side-A」と「side-B」というと、カセットテープを思い浮かべるのですが、どういう目的で2つに分けたのかなぁ?という疑問が残りました(折り返しを表したかった?)。
ちなみに、章のタイトルは『君だけに』や『木綿のハンカチーフ』、『ルビーの指環』など、この作品の舞台となった1980年代後半に流行った歌謡曲のタイトルがつけられています。
それにしても、最後から2行目の衝撃の大きさといったら!
ただの恋愛小説ではないと聞かされて読んだので、ある程度予想はしていたのですが、あれほど簡潔に、効果的な爆弾を落としたことに感服です。
その1行を読んだときには、あっち?それとも、こっち?と、どういう意味なのかを考えてしまいました。
やっぱり、再読必須です。
なお、カバーに書かれた梗概には、最後から2行目を「絶対に先に読まないで!」と書かれています。
私は、良さそうな本をピックアップするときには梗概に目を通しますが、実際に読む前には読まないタイプ。
でも、いきなり後ろのページに飛んだりはしないので、最後から2行目を十二分に楽しむことができました。
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