【読書】中山七里『ヒポクラテスの悔恨』

中山七里 ヒポクラテスの誓いシリーズ └ 中山七里

中山七里さんの『ヒポクラテスの悔恨』を読みました。

あらすじ 

全国ネットのTV番組「医学の窓」に、浦和医大法医学教室の光崎教授が出演した。光崎は、「死体の声を聞こうとしない警官や医者が多すぎる」と発言。
これに対し、テレビ局のホームページに「これからわたしは1人だけ人を殺す。絶対に自然死にしか見えないかたちで。だが死体は殺されたと訴えるだろう。その声を聞けるものなら聞いてみるがいい」との書き込みがあった。
埼玉県警捜査一課の古手川刑事と法医学教室の栂野真琴は、一見自然死にしか見えない案件を吟味していく。

感想

「ヒポクラテスシリーズ」の第4作です。
シリーズ第2作『ヒポクラテスの憂鬱』で、〈コレクター〉に散々振り回された真琴たちですが、今回も自然死に見せかけた殺人予告ということで、膨大な数の案件に関わることになります。
そのあたりの苦労話は省略されていますが、古手川刑事の疲弊っぷりを見ると、相当振り回された様子…

今回は5つの案件を解剖までもっていっているのですが、どれも自然死に見えるものばかりで、実は…となるのがわかっているのに、ドキドキしてしまいます。

このシリーズの見所は2点。
どうやって解剖までもっていくかと、解剖で明らかになる事実だと思っています。

後ろめたいことがなくても、身内が解剖にまわされるということには抵抗があるようで、毎回古手川が奮闘するのをもどかしく思いながら見ています。
さらに、組織のしがらみなどもあって、なかなか一筋縄ではいかない様子。
シリーズが進むにつれ、真琴の出番も増え、古手川刑事とのでこぼこコンビっぷりが楽しめます。

ようやく解剖にこぎ着ければ、光崎の出番。
たちどころに死因を明らかにしてしまうのですが、毎回どういう展開になるのだろうと、興味が尽きません。

それにしても、中山七里さんの医学知識はどこから来たものなのでしょう?
生半可な知識ではないように思うのですが…
海堂尊さんや知念実希人さんなど、実際に医師免許を持つ小説家もおられますが、中山七里さんの作品はそれに負けないものになっているように思います。

このブログをUPした時点では、この作品が「ヒポクラテスシリーズ」最新刊なのですが、続編はあるのでしょうか?
今回、光崎教授の新しい1面を見たような気がするので、次の作品が気になるのですが…

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