【読書】夕木春央『方舟』

著者ヤ行 ▼著者 ヤ行

夕木春央さんの『方舟』を読みました。

あらすじ 

柊一らサークルの仲間7人は、裕哉の案内で、山奥にある地下建築を訪れる。
しかし、地震のため、バリケードにするために置かれていた大岩が動き、キノコ狩りをするために来て迷い込んだ親子3人とともに、地下建築の中に閉じ込められてしまう。
誰か1人を犠牲にしなければ脱出できない。
タイムリミットは1週間。
そんな中、裕哉が首を絞められて殺害されてしまう。

感想

あらすじを読んだときに、どうやって「1人を犠牲にしなければ」という状況を作るのかな?と思ったのですが、そういうことでしたか。

ただ、この「一人を犠牲にしなければ」という状況を作ることに力を割きすぎたのか、読んでいて物足りない部分が何ヵ所か…

まず、誰1人として犠牲を出さずに脱出する方法を、もう少し検討できなかったのだろうか?
裕哉を殺害した犯人にその役を被せることが、暗黙の了解となり、ほとんどの人が真面目に全員で脱出する方法を検討していない。

次に、発電機の燃料や浸水の具合から、タイムリミットが約1週間と定められ、さらに連続殺人事件が発生しているにもかかわらず、皆妙に落ち着いている。
もっとパニックになるのが普通なんじゃないだろうか?

なんか、いまいちだったかなぁと思いながら読んでいたのですが、事態はラスト10ページで急変。
とんでもない真実が隠されていて、これがこの作品の評価を高くしている要因かと、納得しました。
ただ、やっぱり、上に挙げた2点は、もう少しなんとかならなかったのかなあと、残念に感じてしまいました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました