宮部みゆきさんの『昨日がなければ明日もない』を読みました。
あらすじ
杉村探偵事務所の大家・竹中夫人の孫娘・有紗のクラスにいるモンスターペアレント・朽田美姫が探偵事務所を訪ねてきた。
離婚して親権を手放した息子・鵜野竜聖が、お年寄りが運転する車にはねられたのは、養母らによる殺人未遂であることを証明してほしいというのだ。
杉村は、交通事故の詳しい状況、竜聖の健康状態、竜聖と生活している家族の様子に限って調査を引き受ける。
感想
どうも、モンスターペアレントものって苦手なんですよね。
自分にもそういったところがあるんじゃないかと思ってしまったり、そもそも理屈が通じない人間を相手するのが大嫌いなので。
まあ、朽田美姫を見ていると、少なくとも自分はこの人より正常だなと、安心できるのですが…
「杉村三郎シリーズ」の第5弾なのですが、三作目の『ペテロの葬列』以来、ガラリと様子が変わってしまったこのシリーズ。
私は、『ペテロの葬列』以前の雰囲気の方が好きだったかなぁ。
素人探偵から職業探偵に変わって、積極的に事件に関わるようになった杉村ですが、以前の、ほのぼのとした家庭と事件の対比から、独り寂しい私生活と人の嫌なところばかりが見える事件の組み合わせに変わってしまい、どうも好きになれません（なんてことを言いながら、きっちり読んでしまうのですが…）。
そんなことを思ってしまうのは、自分に照らし合わせてしまう部分があるからなのかなぁ。
表題作のほか、『絶対零度』、『華燭』が収められています。
『絶対零度』
杉村探偵事務所に、筥崎静子という婦人が訪ねてきた。
娘の佐々優美が自殺未遂を図ったが、原因は静子にあるとして、夫の知貴が優美との面会はおろか、電話やメールでの接触も認めてくれないという。
『華燭』
従姉妹である宮前静子の結婚式に出席する小崎加奈の付き添いを杉村は依頼される。
加奈の母・佐貴子は、結婚式当日に妹であり静子の母である佐江子に新郎をとられるという経験をし、家族と絶縁状態にあった。
コメント