【読書】大倉崇裕『福家警部補の考察』

大倉崇裕 福家警部補シリーズ ├ 大倉崇裕

大倉崇裕さんの『福家警部補の考察』を読みました。

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あらすじ 

『是枝哲の敗北』
聖南病院皮膚科部長の是枝哲は、かつて自分のMR(医薬情報担当)だった足立郁美が、接待の時に同じ立体駐車場に車を止める習慣を利用して殺害する。
立体駐車場への侵入、脱出を誰にも見とがめられないように工作し、郁美は空き缶を踏んで足を滑らし、非常階段から転落した事故死だと見せかけるが、是枝の前に警視庁捜査一課の福家警部補が立ちはだかる。

感想

「福家警部補シリーズ」第5弾です。
これまで同様、犯行を犯す場面から始まる倒叙形式の作品になっていますが、初期に比べて、犯行までの時間がだんだんと長くなっているような気がします。
初期の頃は、さっさと殺人を犯していた記憶があるのですが、この作品では殺人を犯す前の準備だとか、伏線を張るためのストーリーだとかにある程度のページ数が割かれているように感じます。
「さっさと殺しちゃえ」と思う反面、殺人に至る物語が見えて、面白いなと思ったり…
このあたりは好みの問題もあるのかな?

時間的な部分で変わったこととして、福家が警察手帳を出すまでの時間が格段に早くなった気がします。
初期の作品では、警察手帳を探してバッグの中を引っ掻き回すのがお約束でしたが、大倉崇裕さんも少々飽きてきたのでしょうか。

理詰めで犯人を追い込んでいく福家ですが、事件の裏に人間的なストーリーが隠されているというのは、今も昔も変わらない、このシリーズの良い点だと思います。


この他、『上品な魔女』、『安息の場所』、『東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き』が収められています。

『上品な魔女』
太陽光パネルの開発をしているベンチャー企業の経営者・中本誠は、資金難から出張中に自宅の屋根に取り付けたパネルのデータを確認しにいく妻を殺害するため、屋根に取り付けた足がかりのネジを緩めようとするが…

『安息の場所』
バーテンダーの浦上優子は、師匠である原町卓に関することで恐喝を働いてきた久義英二を殺害する。
店で眠りこけていた客を利用して、アリバイを主張するが…

『東京駅発6時00分 のぞみ1号博多行き』
外資系証券会社の社員・蓮見龍一は、かつて恋人だった坂下ゆきを自殺に追い込んだトレーダー・上竹肇を埠頭に呼び出して殺害する。
蓮見は東京駅発6時00分の新幹線に乗って京都へ向かうが、隣の席には福家警部補が…

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