伊坂幸太郎さんの『アヒルと鴨のコインロッカー』を読みました。
あらすじ
大学進学のためにアパートに引っ越してきた椎名は、隣の部屋に住む長身の男性・河崎と出会う。
河崎は初対面だというのに、椎名に「一緒に本屋を襲わないか」と持ちかける。
そして決行当日、椎名は河崎が運転する車に乗って本屋へ。
椎名に与えられた仕事は、モデルガンを持って裏口を見張ること。
そして、ボブ・ディランを2回歌うごとに裏口のドアを足で蹴飛ばすこと。
感想
以前読んだ『重力ピエロ』が面白かったなと思って手に取った、私にとって2冊目の伊坂幸太郎さんの作品です。
『重力ピエロ』も、明確な方向性が与えられないまま物語が進んでいきましたが、この作品はさらに方向性が見えない。
着地点がわからないまま進んでいくミステリーツアーのような感じを受けました。
正直言うと、私はこの着地点が見えないまま進んでいく話が苦手。
「この先に何が待っているんだろう?」と、想像力をかき立てられる前に、考えるのが面倒くさくなってしまうんです…
この作品では、椎名がアパートに引っ越してきた「現在」と、「2年前」の出来事が交互に進んでいきます。
その共通項になるのが河崎なのですが、この人物も謎が多いキャラクター。
そして、共通項になっていない人物たちが、どのような役割を果たしているのか、というのも謎のまま話が進んでいきます。
ラストに向かって物語の要素が纏まっていく様は圧巻。
ぐいぐいと惹きつけられてしまいました。
事件もののような明確な答えは用意されていないのですが、すべて納得させられたという実感があります。
これまであまり読んでこなかった作風の作家さんですが、すでに、もう1冊手に取りたいという気持ちになっています。
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