森博嗣さんの『魔剣天翔』を読みました。
あらすじ
小鳥遊練無の先輩・関根杏奈が出演する航空ショーの最中、2号機を操縦する西崎勇輝が背中を撃たれた。
操縦士を失った2号機は3号機と接触して墜落。西崎以外の乗員3名は機外へ脱出して難を逃れる。
一方、探偵の保呂草潤平は、ジャーナリストの各務亜樹良から、杏奈の父で画家の関根朔太が所有しているといわれる美術品〈エンジェル・マヌーヴァ〉を手に入れたいと依頼される。
感想
「Vシリーズ」の5作目。折り返し地点ですね。
2作前の『月は幽咽のデバイス』から見え始めた保呂草潤平の裏の顔が、また1段階明らかになった感じがします。
この人物は、どんな過去を持っているのだろう?正体は何者なのだろう?と、疑惑ばかりが深まります。
航空ショーの最中に発生した殺人事件と、〈エンジェル・マヌーヴァ〉を追いかける保呂草の仕事が、時に絡み合いながら併走していくのですが、保呂草の動きが気になってしかたないため、これが推理小説だということを忘れてしまうくらい。
瀬在丸紅子の謎解きが始まってから、そうだった、そうだったと、殺人事件の方に意識を引き戻される始末でした。
まぁ、殺人事件の方に意識が向かなかったのはもう1つ理由があって、前後に座席があるプロペラ機で、後部座席に座ったパイロットが背中を撃たれるという、難解な事件。
そうそうに推理を諦めて、紅子による謎解きを待っていたというわけです。
この謎を美しく解いた森博嗣さんに脱帽です。
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