森博嗣さんの『夢・出逢い・魔性』を読みました。
あらすじ
香具山紫子、瀬在丸紅子、小鳥遊練無の3人は、クイズ番組の女子大生大会に参加するため、探偵の保呂草潤平とともに東京のNテレビを訪れた。
リハーサルの最中、プロデューサーの柳川聖志が使っていた部屋から、アイドル・タレントの立花亜裕美が出ていったあと、火薬の破裂音がした。
不審に思った保呂草と同業の稲沢真澄が部屋を確認すると、柳川が拳銃で2ヶ所を打たれて絶命していた。
一方、小鳥遊は亜裕美とともにNテレビの社屋から消えてしまう。
感想
「Vシリーズ」の4作目です。
このシリーズの特徴は、不安定さでしょうか。
個性の強いキャラクターたちが、いつ何をやらかすかとヒヤヒヤしながら読み進めることになります。
「S&Mシリーズ」も、我が道を行くタイプのキャラクターたちが登場しますが、なぜか安定感を感じるのに対し、このシリーズでは不安定さを感じます。
探偵役が職業探偵の保呂草潤平ではなく、瀬在丸紅子であるという点もそれを後押ししているでしょうか。
警察が謎を解けなくて、探偵が謎を解くのかと思いきや、世間知らずのお嬢様(と言っても中学生の子供がいるのですが)が探偵役というところに、未だに馴染めないでいます。
前作『月は幽咽のデバイス』では、保呂草が何か秘密を抱えていることを臭わせて終わりましたが、この作品でもその秘密が何なのかはわからず。
この作品でも、最後の1行が気になる終わり方になっていて、「森博嗣さんの意地悪!」と叫びたくなりました。
事件の本筋はさほど複雑ではないもの。
ただ、テレビ局が舞台になっているからか、謎が幾重にも重なっているように見えます。
結局、柳川が見ていた夢は何だったんだろうなぁとか、わからない点はいくつかあるのですが、紅子の理路整然とした推理によって、わかったつもりにさせられた感があります。
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