中山七里さんの『ヒポクラテスの誓い』を読みました。
あらすじ
研修医の栂野真琴は、内科医の津久場教授から広範な知識を得るようにと、法医学教室での研修を命じられた。
法医学の権威・光崎藤次郎教授とアメリカ出身のキャシー・ペンドルトン准教授のもとで研修を行うことになった真琴だが、法医学の意義に戸惑う。
そんなことはお構いなしに、光崎は県警が要請もしていない案件、遺族に虚偽申告して解剖した案件、別の監察医務院が処理したあとの案件などを次々にこなしてしまう。
感想
タイトルの『ヒポクラテスの誓い』とは、医学の父ヒポクラテスが、ギリシア神への宣誓文として謳ったものを指しています。
同じ法医学を扱った作品としては、私が高校生の頃に読みあさった、パトリシア・コーンウェルの「検屍官シリーズ」がありますが、法医学ものとしてはやはり法医学が発達し、検屍官の裁量の範囲も大きいアメリカを舞台にした「検屍官シリーズ」の方が上でしょうか。
「検屍官シリーズ」は、いちはやくDNA検査を持ち出すなど、最先端の科学を常に取り入れた作品になっていますが、この『ヒポクラテスの誓い』は、亡くなった人の声を聞くという、法医学の基本に則った作品になっているように感じました。
また、「検屍官シリーズ」は、解剖の際に出た不明点を解き明かすというストーリーになっているのに対し、この作品では解剖によって真実が明らかになるという構成になっています。
5つの案件から構成されていて、テンポの良さを感じるのも対照的でした。
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