中山七里さんの『ドクター・デスの遺産』を読みました。
あらすじ
警視庁の通信指令センターに、「悪いお医者さんが来て、お父さんを殺しちゃったんだよ」と、男の子から110番通報が入った。
念のために男の子の家に向かった犬養隼人と高千穂明日香が、不審死の臭いを嗅ぎつけ、遺体を司法解剖に回したところ、心筋に悪影響を及ぼすカリウムの血中濃度が異常に高かった。
殺害された馬籠健一は末期の肺がんで、ドクター・デスなる人物に20万円で安楽死を依頼したことがわかった。
感想
「刑事犬養隼人シリーズ」の第4弾です。
毎回、医療に関する問題点を取り上げるこのシリーズですが、今回のテーマは安楽死。
果たして、安楽死は正義なのか、悪なのか?
このシリーズを読むと、どちらが正解なのかわからなくなってしまうのは、私だけではないと思います。
現在の日本の法律で裁くと…なんですが、人道的に見れば、助かる見込みもなく苦しみ続けている人に死を選ぶ自由を与えるという意見もわからないでもない。
毎度のことながら、深い話だなぁと。
また、こういった問題を、ミステリのなかに取り入れられるのもすごいところ。
安楽死の問題ばかりが先走ったり、ミステリとしての面白さだけが追い求められたりするのではなく、バランスがとれているのに、手放しで感心してしまいます。
中山七里さんお得意の〈どんでん返し〉については、私の予想どおり。
だんだんと中山七里さんの考え方が読めるようになってきたかな?
犬養と娘の沙耶香の関係がどうなるかな?と少し危惧しましたが、回を追うごとに良好になっている様子。
それとともに、沙耶香が大人になっていく様子が見れてうれしく思います。
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