森博嗣さんの『今はもうない』を読みました。
笹木は、婚約者の知人であるファッションデザイナー・橋爪怜司の別荘を抜け出し、森林鉄道の線路跡を散歩していたところ、叔母とケンカして別荘を飛び出してきた西之園萌絵と出会う。
別荘に帰りたくない萌絵は、笹木に車で送って欲しいとお願いするが、橋爪氏の別荘に辿り着く前に雨に降られてしまう。
結局、萌絵は橋爪氏の別荘で1夜を明かすことになったが、その嵐の晩、別荘の客であった朝海由季子、耶素子姉妹が3階の映写室と遊戯室でそれぞれ死亡しているのが見つかったが、2つの部屋には鍵がかけられていた。
うーん、難しい。難しいです。
私の筆力だと、感想を書こうと思うと、どうしてもネタバレに近いことに触れざるを得なくて…
なので、ネタバレが一切嫌って方は、これ以下は読まずに、いきなり作品を読むことをお勧めします。
このシリーズをここまで読んでこられた方であれば、私の感想なんて不要だと思います。
「S&Mシリーズ」の8作目ですが、これまでとは一風変わった作品になっています。
まず、笹木の視点で事件が語られています。
となると、アガサ・クリスティーの『アクロイド殺し』のようなパターンもあるんじゃないかと邪推したり。
そうなると、笹木の物語に出てくる西之園萌絵は、本当に萌絵なのか?といった疑問も。
さらには、よく似た顔立ちの朝海姉妹を使ったトリックも用意されているんじゃないだろうかと、いろいろ考えてしまいます。
それにしても、森博嗣さんは本当に密室が好きだなぁと、思わず笑ってしまいました。
しかも、今回は台風で外界からゆる~く隔離された別荘での事件。
クローズド・サークル+密室というと、シリーズ第1作の『すべてがFになる』を思い出してしまいました。
私が森博嗣さんの作品で楽しみにしているものの1つが目次。
今回は、
・意味のないプロローグ
・第一幕
・必要のない幕間
・第二幕
・重要でない幕間
・第三幕
・なくてもいい幕間
・最終幕
・まったく余分なエピローグ
ときました。
物語のオチを読んでから、改めてこの目次を読むと、ムフフフフ…
殺人事件の真相までは行き着きませんでしたが、その他の謎については結構核心に迫れた気がします。
このシリーズもあと2作。
この先どうなっちゃうんでしょうね♪
過去の「森博嗣」記事
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