米澤穂信さんの『いまさら翼といわれても』を読みました。
あらすじ
夏休み最初の日、神山高校古典部の部長・千反田えるは、地域の合唱祭に出演することに。
しかし当日、自宅にいた折木奉太郎に、伊原摩耶花から、千反田がホールに現れないと電話がかかってきた。
奉太郎はホールにいた合唱団員から話を訊き、千反田の居場所を推理する。
感想
殺人事件や密室トリックなどといった派手さはないのに、なぜか手が伸びてしまう「古典部シリーズ」の最新刊(ブログ掲載時点)です。
『長い休日』で、奉太郎の姉が奉太郎にかけた言葉や、『いまさら翼といわれても』の終わり方を見ると、このままシリーズが終わってしまっても、それはそれで良いかもと思ってしまったのですが、どうやら米澤穂信さんの中では、奉太郎たちが高校を卒業するまで、シリーズを続ける意思があるようです。
どの話も、ほんの些細な謎を解き明かしていく話なのですが、じわーっと心が温まるような話が並んでいるように感じました。
表題作のほか、『箱の中の欠落』、『鏡には映らない』、『連峰は晴れているか』、『わたしたちの伝説の一冊』、『長い休日』が収められています。
『箱の中の欠落』
福部里志は、総務副委員長として生徒会選挙の開票に立ち会ったが、全校生徒1049人に対し、1086票が投じられていた。
里志は奉太郎を呼び出して相談するが…
『鏡には映らない』
伊原摩耶花は、買い物に行った先で、中学時代の同級生・池平と出会った。
中学の卒業制作の話になったのだが、その際に一悶着起きており、その件に奉太郎が大きく関わっていた。
『連峰は晴れているか』
神山高校の上空をヘリコプターが通過した。
その音を聞いた奉太郎は、ヘリコプターが好きだと言った中学教師・小木のことを思い出したが、ふと頭の中に疑問が湧く。
『わたしたちの伝説の一冊』
伊原摩耶花が古典部と兼部している漫画研究会は、漫画を読むだけ派と描いてみたい派に分かれて抗争中。
そんな中、自分たちで描いた漫画を同人誌に仕立てて、既成事実を作ってしまおうという動きが持ち上がる。
『長い休日』
早起きをした奉太郎は、散歩がてら荒楠神社へ向かうが、そこには千反田えるが来ていた。
千反田は奉太郎の口癖、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」を口にしだしたのはいつからかと訊ねる。
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