森博嗣『詩的私的ジャック』

森博嗣さんの『詩的私的ジャック』を読みました。

 

 

N大学建築学科助教授の犀川創平が非常勤講師を務めることになったS女子大で、T大学に通う女子大生が殺害された。
被害者は大学構内にあるログハウスの中で下着だけの姿で殺害されており、左胸から右の下腹部にかけてナイフで傷をつけられていた。
そして、今度は、S女子大でT大学に通う女子大生が殺害されてしまう。
被害者の腹部には、Zの文字が刻まれていた。
建築学科2年の西之園萌絵は事件に興味津々だが、犀川は中国へ1週間の出張に出かけてしまう。

 

 

「S&Mシリーズ」4作目です。
1作目の『すべてがFになる』で、森博嗣とはこういう作家なのだ!と宣言し、2作目の『冷たい密室と博士たち』、3作目の『笑わない数学者』でこのシリーズの方向性を確立し、ついにこの作品で、これまで築き上げられてきたキャラクタたちが躍動しはじめるといった感じでしょうか。
これまでよりも、サスペンス的要素も増えましたし、キャラクタの個性も活きているように感じました。

他の作品同様、この作品にも密室が登場するのですが、森博嗣さん自らが「小説としては面白みのない」と言ってしまっているところには苦笑してしまいましたが、この作品は密室が使われているものの、密室の謎を解くことが目的ではないというところに、このシリーズの特徴が色濃く表れているような気がしました。

全10作品で構成される「S&Mシリーズ」。
犀川と萌絵の関係も気になりますが、萌絵が今後どういう道に進んでいくのかも気になります。
そして何より、2人の前にどんな事件が立ち塞がるのかに興味が尽きません。

 

 

 

 

 

過去の「森博嗣」記事

 

 

 

過去の「S&Mシリーズ」記事

 

 

 

 

 

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