中山七里さんの『おやすみラフマニノフ』を読みました。
あらすじ
城戸晶が通う音楽大学の楽器保管室から、ストラディバリウスの手による時価2億円のチェロが盗まれた。
楽器保管室は温度、湿度を管理するために窓が無く、入り口にはカードリーダーと警備員、監視カメラが。
そして、秋の定期演奏会では晶らのオケと、学長の柘植彰良のピアノによる、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」を演奏することに。
晶は次々に立ちはだかる困難を乗り切り、舞台を目指す。
感想
今回はラフマニノフという、少し知名度の落ちる作曲家によるピアノ協奏曲がテーマ。
なんてことを書いている私も、ラフマニノフという名前を聞いたことがあったっけなぁ?といった程度の認識。
一時期クラシックをよく聴いていたときもあるのですが、ラフマニノフの作品は記憶にありません。
中山七里さんというと、『切り裂きジャックの告白』のような刑事物を書いたかと思うと、この作品のような音楽をテーマにした作品を書いたりと、なかなか多才な人物。
どういう経歴の持ち主なのかな?と思い、Wikipediaで調べてみると、中山七里さん自身はクラシック音楽に関しては素人で、楽器も演奏できないのだとか。
それでいて、この表現力なのだから、参っちゃいますよねー。
今回は、クライマックスの定期演奏会のシーンで、実際にラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を聴きながら作品を読んでみました。
作品に書かれていることと、音楽をシンクロさせることはできませんでしたが、音楽に見劣りしない描写であることは実感できました。
密室の謎が解けたときには「うーん」。
そんなにうまくいくかなぁ?でも、今ならできるかも知れないなぁといった感じ。
そして、動機を聞いたときには「うわっ!」。
さらに、動機2を聞いたときには、絶句。
はじめの方に出てきた何気ない1シーンがここに繋がるのかと感心したり、あちこちにばらまかれていた伏線にうなり声を上げたりと、「どんでん返しの帝王」の術中に今回もはまってしまったなぁと、白旗を揚げるのでした。
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