赤川次郎さんの『おだやかな隣人』を読みました。
小川昇が暮らす、郊外の戸建て住宅の隣りに、宮沢好男の一家が引っ越してきた。
小川家は、昇が36歳、友子が34歳、娘の江里が8歳と、まったく同じ家族構成、年齢だった!
一方、堀井弥生は高級マンションの1室の留守番のアルバイトをしていたが、男が侵入してきて、ベランダから身を投げてしまった。
男は飛び降りる前、「僕がいなくても大丈夫。ちゃんと、もう1人僕がいますから」と言い残していた。
他人に影響されるということはよくありますが、この作品に出てくる小川家、宮沢家がまさにそういった関係でしょうか。
昇は好男に影響されてゴルフやジム通いをはじめたり、娘の江里は公子とべったりで、食の好みまで似てきてしまう。友子も有子に誘われて、エアロビクスの教室へ通うことを検討している様子。
微笑ましくも感じられる展開ですが、文庫本の裏表紙にあるあらすじに、「人気作家が贈るホラー・ミステリー」とあるとなっては、何かの前兆なのかな?と思えてきてしまいます。
ホラーが苦手な私が言うのですから間違いない(?)と思いますが、この作品は、ゾンビが出てきて驚かされるといったような話ではありません。
いつ何が起きるんだろう?と、このあとこうなるんじゃないか、ああなるんじゃないかと勝手に読者が想像を膨らませて怖がるタイプの作品になっています。
私はホラーが苦手なので、そういうスイッチをOFFにして読んだので(この作品を読む楽しみを何割か損している気もしますが…)、正直拍子抜けするくらい怖くなかったのですが、あとからじっくり考えてみると、なんとも空恐ろしい物語になっています。
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