赤川次郎『追憶時代』

赤川次郎さんの『追憶時代』を読みました。

 

 

門倉真由子は軽井沢でテニスをしたあと失踪した。
遠く離れた町でそば屋を営む夫婦に助けられたが、1週間続いた高熱が引いたあと、真由子は記憶を失っていた。
そば屋で〈夏〉として2年を過ごした真由子の前に、父親の門倉正也が現れ、自宅に帰ることができた真由子は、手帳に名前のある友人たちと会い、失った記憶を取り戻そうとする。
しかし、そんな真由子の前に、真由子に殺された佐川紀子の姉だと言う人物が現れる。

2年間の記憶喪失、親の顔を見ても思い出せない、真由子担当のお手伝いさんは新しく雇われた女性…とくれば、娘を失ったお金持ちが、記憶喪失の女性を見つけてきて…と想像してしまうのは、私だけではないと思います。
ただ、この作品では、そんな安っぽい(?)ところに謎を仕掛けるのではなく、もっと深いところに仕掛けられています。

失った18歳までの記憶を補完しようとすればするほど見えてくる、目を背けたくなるような事実。
それにどう向き合うかというところに、真由子という人間を見ることができます。

最後に真由子が下した決断は、非常に勇気のいるもの。
これぞ赤川作品のヒロイン!というものを見せてもらった気がしました。

 

 

 

 

 

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