赤川次郎さんの『殺人を呼んだ本 ―わたしの図書館―』を読みました。
松永三記子は、とあるお金持ちが作った図書館の管理をすることになったが、この図書館には幽霊が出るらしい。
三記子が仕事をしていると、30代くらいの女性が訪ねてきて、「うちの子供がここにいると思うんですけど」と言ってきた。
女性が捜しているのは、薫という10歳の男の子だったが、三記子が一瞬目を離すと、女性は消えていた。
さらに、その時三記子が手に取っていた本を開くと、表紙の見返しに〈薫〉と書かれていた。
三記子が管理をすることになった図書館に収められている本は、一癖も二癖もある本ばかり。
一家心中をした家族が踏み台にした本だとか、殺人現場にあった本だとか、若い女性ばかり7人を殺した変質者の愛読書だとか…
これで事件が起きなかったらおかしいでしょうと言いたくなるような本が揃っています。
本にまつわる謎を解いていくミステリーというと、三上延さんの「ビブリア古書堂の事件手帖シリーズ」を思い浮かべますが、ビブリア古書堂では本そのものに隠された秘密が謎を解くカギになっているのに対し、この作品では本を手にした人たちが謎を解くカギになっています。
本にもそれを手にした人たちの魂が乗り移っていて、「怪異名所巡りシリーズ」と似ているなとも感じました。
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