宮部みゆきさんの『長い長い殺人』を読みました。
レストランを経営する塚田和彦の元妻・太田逸子が殺害された。
さらに、塚田の愛人・森元法子の夫・森元隆一も殺害される。
2人には多額の保険金がかけられており、世間の目は塚田と法子へと向けられるが、犯行時のアリバイがあったため、警察は手を出せないでいた。
犯行はさらに続くが、警察は真犯人に辿り着けるのか?
なんと、財布が語り手という風変わりな作品になっています。
刑事にはじまり、強請屋、少年、探偵、目撃者、死者、旧友、証人、部下、犯人、そして再び、刑事の財布が事件について語ってくれます。
突拍子もないアイデアに思えますが、確かに財布は肌身離さず持ち歩くものですし、何を買ったかもすべてわかるので、語り手に向いているかも。
現代なら、スマートフォンというところでしょうね。
電話の内容や、メッセージ通信(SMS、メール、SNSなど)、位置情報、電子決済サービスと、どこで何をやったかがすべてわかってしまいます。
おそろしや、おそろしや…
1人ずつ(1財布ずつ?)、事件について語ってくれるのですが、最初に出てきたときには重要でないと思った人が実は重要だったり。
そのたびに、あれ、この人は誰だっけ?と思い返さなければならないので、登場人物の一覧があれば親切だったかな?と思いました。
初めはちょっと不思議な語り手に戸惑いながら読んで、半ばはどこに向かっているんだろうなぁとちょっと中だるみして、終盤は一気に面白くなってきて…といった感じでした。
序盤、中盤にしっかり伏線を張り巡らせたのが、終盤に実を結んだな、というのが実感できる作品でしたよ。
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