赤川次郎さんの『三毛猫ホームズの戦争と平和』を読みました。
片山と晴美、ホームズの3人(!)は、親戚の法事に出た帰り、道に迷ってしまう。
ようやく、人家の明かりが見えたと思ったら、車は宙に投げ出され、前後に裂けてしまった。
そこでは村を二分した争いが続けられていて、片山らが乗った車は道路に埋められた地雷に触れてしまったのだった。
そして、片山は沼田家、晴美は大泉家に救出されるが、またしても両家の間で戦争が起きようとしていた。
「戦争をしよう、なんていう人間を信じちゃいけない」という言葉が出てきますが、昨今の情勢を見ていると、その言葉が深く胸に染み入ります。
この作品のように、争うことは何も生まないんだということに気づけば良いのですが、当事者たちにはそれが見えないようで…
争いの火種というのは、些細なことなのでしょうが、その火が大きくなって、誰にも止められなくなってしまうことが恐ろしいと感じます。
ホームズのような仲裁役が、現実の世界にも現れてくれることを願います。
表題作のほか、『三毛猫ホームズのお節介』、『三毛猫ホームズと永遠の恋人』、『三毛猫ホームズの瓜二つ』、『三毛猫ホームズの遺失物』、『三毛猫ホームズの引越し』が収められています。
『三毛猫ホームズのお節介』
テレビのニュース番組でメインキャスターを務める工藤明は、見知らぬ女性から「お願いです、一緒に帰って」と腕にしがみつかれた。
女性の手を振り払ってタクシーに乗り込んだ工藤だったが、女性が刺されて重傷を負っていたことが明らかになる。
『三毛猫ホームズと永遠の恋人』
10年前、堀江卓士の恋人・山根真美は、堀江が不良とケンカになって殴られそうになったのを止めようとして、頭を打って意識不明になった。
真美が亡くなるまでの1年間を描いた『永遠の恋人たち』がベストセラーになったが、堀江は別の女性と結婚を決意するようになった。
『三毛猫ホームズの瓜二つ』
片山は、殺人容疑で手配されている中田望を追いかけ、娘の真知子の披露宴を張っていた。
中田がボーイの格好で披露宴に潜り込み、会場から逃走するのを石津刑事と共に追ったが、「会いたかった!一郎さん!」と、石津にキスする女性が現れる。
『三毛猫ホームズの遺失物』
片山一行が新幹線に乗っていると、暴力団の組長一行が同じ車両に乗ってきた。
東京駅に着くと、刑事たちが乗り込んできて、組長を連行していったが、同じ車両に乗り合わせていた安西の上着のポケットに、女性の指が入れられていた。
『三毛猫ホームズの引越し』
片山一行は、ひょんなことから他人の引越しを手伝うことになる。
引っ越しをしていたのは、B工業で内部告発を行って、職を追われた田所一家だったが、田所らは公園にライトバンを駐め、一家心中を図ってしまう。
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