湊かなえさんの『Nのために』を読みました。
都内の高層マンションの1室で、野口貴弘、奈央子夫妻が死亡しているのが発見された。
現場にいたのは、夫妻の友人の杉下希美と安藤望、レストランの出張サービスの成瀬慎司、花屋を装って部屋を訪ねてきた西崎真人の4人。
貴弘が包丁で奈央子を殺害し、その貴弘を西崎が燭台で殴り殺したとして事件は処理され、西崎は懲役10年の刑に服した。
私にとって、はじめての湊かなえさんの作品でした。
湊かなえさんが常にこういう書き方をされるのかどうかはまだわからないのですが、殺人現場に居合わせた4人の証言を順に纏めたような構成。
奇しくも、はじめて読んだ宮部みゆきの作品、『理由』と同じような書かれ方をしていました。
こういう書き方だからなのか、ちょっと読みづらいなぁ、いまいち着地点が見えづらいなぁと思いながら読んでいました。
各人の最後に出てくる10年後に関する記述は、西崎の刑期が10年ということで10年後なのでしょうが、ヴォリュームも少ないし、書く意味あるのかなぁ?とまで…
そんなあまり良くない印象がガラリと変わったのは、残り10ページを切ってから。
そこにきて、ようやくそういうことが言いたかったんだ!と、ちょっと感動。
ここに繋げるための前振りの部分が少し長すぎた印象はありますが、それだけにインパクトも強烈でした。
ちょっと独特な作品で、湊かなえさんの作風が掴みづらかったですが、印象は良い感じ。
もう1冊読んでみたいと思っているのですが、湊かなえさんってイヤミスが多いのでしょうか?
イヤミスはあまり好きではないので、そことは外れたところを探してみたいと思います。
コメント