阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』

阿津川辰海さんの『透明人間は密室に潜む』を読みました。

 

 

全身が透明になってしまう病「透明人間病」がまん延。
国内で約10万人、全世界で約700万人の発症が確認される中、透明人間病を患う内藤彩子は、川路昌正教授の殺害を計画する。
川路教授は従来の透明人間を不完全かつ決められた色で再現する薬に代わる、透明人間を完全に元の状態に戻す新薬の開発を進めていた。

密室殺人の犯人が実は透明人間で、再び密室が解かれたときに大手を振って扉から外へ脱出していました。なんて小説を書くと、周りから石が飛んできそうですが、この作品はそのタブーを打ち破る作品。
というか、透明人間病という病気を作ってしまって、国内で10万人もの患者が存在するという設定を持ち出したところが、この作品の肝になっています。

透明人間病という設定以外、新たな驚きはあまりなかったのですが、透明人間ならではの苦労話に思わずニヤリとさせられました。

最終盤になってみると、こんなところにも伏線が張ってあったのかぁと感心する部分もありましたが、設定が特殊すぎて、それはわかんないよって思う部分もありました…

文庫化されて、SNSなどで話題に挙がっていたので乗ってみましたが、私の好みとは少しずれていたかなぁって感じです。
個人的には、『盗聴された殺人』、『六人の熱狂する日本人』が好きだったかな。

表題作のほか、『六人の熱狂する日本人』、『盗聴された殺人』、『第13号船室からの脱出』が収められています。

『六人の熱狂する日本人』
アイドルグループ・Cutie Girlsのライブに来ていた男性2人が宿泊先のホテルで口論となり、被告人が被害者を殴り殺した事件の裁判員裁判で、裁判員に混じったCutie Girlsのオタクたちが、事件の真相に近づいてしまう。

『盗聴された殺人』
超人的な聴力を持つ山口美々香は、大野糺が所長を務める探偵事務所の調査員。
大野が依頼された浮気調査のためにしかけた盗聴器に、犯行時の音声が録音されてしまった。
美々香は、自慢の聴力を使って、真実に迫る。

『第13号船室からの脱出』
船上での脱出ゲームに参加した猪狩海斗は、大学の同級生でライバルでもあるマサルの弟・スグルとともに船室に監禁されてしまう。
二人は船室からの脱出を試みるが…

 

 

 

 

 

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