赤川次郎さんの『吸血鬼と怪猫殿(かいびょうでん)』を読みました。
加瀬グループの総帥・加瀬竜広と結婚の約束を交わしていた野添悠子は、竜広の娘・八重子と息子・浩樹に加瀬グループが建築中のビルに呼び出され、愛猫のタマとともにコンクリート漬けにされてしまった。
2年後、ビルの完成披露パーティが開かれ、取引先の社長であるフォン・クロロックも招待された。
しかし、ビルの壁に猫型の染みができたり、八重子の夫・久田が喉を切り裂かれて殺害されるなど、不可解な出来事が発生する。
殺された猫の怨念が不可解な出来事を引き起こすという話なのですが、それほど恐怖を覚えないというところが、集英社コバルト文庫に収められた作品ならではといったところでしょうか(怖い話を怖く書いたり、怖くないように書いたりする技術もすごいと思いますが…)。
『吸血鬼と怪猫殿』というタイトルですが、猫は化けて出たくて出てきたわけじゃなく、理不尽な殺され方をしたから、仕方なく化けて出たって感じなんですよね。
そういう意味では、復讐したい相手に復讐するだけで、周りに危害を与えていないという点が、このシリーズには珍しい展開だったかなぁと思いました。
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