赤川次郎さんの『清く正しく、殺人者』を読みました。
あらすじ
氷川呈一は、かつて組織の掃除屋だった。
夫の恰好をして身代わりになった妻を射殺した仕事を最後に掃除屋を引退。
残された娘を引き取って会社経営に乗り出した。
しかし、かつていた組織でボスの座を巡る争いが勃発。
娘の沙織にカミソリの刃が入った花束が贈られてきたり、帰り道にドーベルマンが待ち構えていたりと、氷川の周囲にもただならぬ気配が。
そして、氷川に以前の仕事の依頼が舞い込む。
感想
これまた、赤川次郎さんらしい作品になっています。
主人公の氷川呈一は、「夫は泥棒、妻は刑事シリーズ」の、今野淳一のようなタイプ。
淳一ほど人間離れした能力は持っていないものの、誠実さで丁寧に仕事をこなしていくタイプ。
ヨミの深さも淳一ばりでしょうか。
こういったストーリーの場合、以前の仕事に戻るかどうかというところで、大きな葛藤がありそうなものですが、この作品では比較的簡単に決断を下しています。
血のつながりのない娘・沙織との関係だからこそ、何よりも家族の身の安全を考えたのかもしれません。
しかし、元の仕事に戻ってしまえば、やはり危険な目に遭うわけで…
そのあたり、かなり早い段階でものごとの裏まで見通せていたのかなって思えてしまいました。
ただ、エピローグで起きた事件についてはどうだったんでしょう?
ちょっと軽率なような気がしてしまったのですが…
この作品を読んで、私の頭に浮かんだのは、ジェフリー・アーチャーの『十一番目の戒律』。
今度読みなおしたいと思います。
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