赤川次郎『友よ』

赤川次郎さんの『友よ』を読みました。

 

 

深沢紀子がハワイへの修学旅行に立つ日の朝、テディベアの絵はがきが届いた。
紀子、栗田栄江、梓真由美の3人は、父親たちの仕事の関係で離ればなれになる前に、何か困ったことがあったら助け合うと誓い合っていた。
テディベアの絵はがきは、栄江からのSOSを知らせるものだった。

修学旅行には参加せず、日本に残った紀子は、真由美とともに栄江が住むN市に向かう。
栄江が現在住む家を探し当てた2人だったが、母親は何かに怯えている様子。
父親はホームレスになっていて、見つけ出したのは良いが、酔っ払っていて話が通じない。
1晩待つことにした2人だったが、ホームレスの女性が殺害され、栄江の父親が姿を消してしまった。

唖然とする2人だったが、今度はヤクザの親分に捕らえられ、紀子1人で事件の謎を追いかけることになってしまう。

赤川次郎さんらしい作品と言えば良いでしょうか。
ヒロインは高校2年生の少女。赤川次郎さんが最も得意としている年代です。
少女の純真な気持ちと、大人の汚い世界の対比というのも、『セーラー服と機関銃』をはじめとして、たびたび描かれてきたものです。

ヒロイン3人を書き分けるというのも、赤川次郎さんの得意とするところなのですが、今回はちょっと様子が違います。
そうそうに、紀子は行動を共にすると見られた真由美と別行動に…
それからしばらくは、ヤクザの子分・牧野と行動を共にするのですが、このデコボココンビが赤川次郎さんらしい良い味を出しています。

文庫で400ページを超える、少し長めの作品ですが、中盤くらいから、このまま結末に駆け上がっていっても良いのにと思うことがたびたび。
でも、引き延ばされている感はないですし、そのたびに作品に奥行きが生まれていくという、不思議な作品でした。

 

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