赤川次郎さんの『死者は空中を歩く』を読みました。
あらすじ
実業家・千住忠高の屋敷に、脛に疵を持つ男たち4人が集められた。
そして、3年前に家を飛び出した娘の美也子と、夫の春山隆夫も呼び戻された夕食の席で、千住は「私を殺していただきたいのです」と言い放った。
その夜、美也子は千住が塔の部屋の窓から飛び降りるのを目撃したが、駆けつけた美也子らは千住の姿を発見することができなかった。
さらに、屋敷に集められた客人の1人である古井が殺害されてしまう。
飛んで火に入ってきた警察官など、厄介ごとが山積し…
感想
1980年の作品ですが、色褪せるという言葉を知らないようです。
こんなのいるのかなぁ?と思ってしまうようなサイドストーリーが、最後にきちんと繋がってしまうことはもちろん、しっかりと練られたストーリーが用意されています。
断片、断片の謎は解けてしまったりするのですが、それがどう繋がっているのか、カギになっている人物が誰なのかといったところがなかなか見えてこなくて、ストーリーの中にぐいぐいと引き込まれてしまいます。
赤川次郎さん自身が、あとがきの中で「犯人、トリックが分かっていて、なおかつ一気に読まされてしまうような作品こそ本当の傑作だとも言えるだろう」と言っているように、複雑なストーリーになっていたり、手の込んだトリックが用意されているわけでもないのに、ぐいぐいと引き込まれてしまう、良い作品だと思いました。
作品の雰囲気で言うと、『晴れ、ときどき殺人』に似ているかなって思いました。
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