赤川次郎さんの『新・吸血鬼はお年ごろ 吸血鬼よ故郷を見よ』を読みました。
神代エリカが友人の大月千代子、橋口みどりと共にデパートへ買い物へ行ったところ、お歳暮用品売り場で女性と店員が口論になった。
他の男性客が仲裁に入り、その場は収まったのだが、女性は売り場を立ち去る前に振り返り、仲裁に入った男性の背中をキッと睨みつけた。
すると、男性の服が突然燃えだし、デパートは火事に…
事件の一部始終を見ていた村山智子が調べたところ、女性は南規子といい、夫の克也は魔術師をしていたが、フォン・クロロックの故郷、ペンシルバニアの出身だった。
シリーズ3冊目になりますが、前作でクロロックに経営を任された会社は、なんとか倒産せずにもっている様子。
そして、クロロックの娘・エリカと千代子、みどりの3人は無事大学生へ。
1歳になったエリカの弟・虎ノ介は、吸血鬼の子供だからか、ものに噛みつく癖がついたようです。
この虎ノ介の噛み癖が、物語の重要な局面で活かされていたりと、相変わらず話の展開が上手いなぁと思ってしまいます。
ただ、南規子が身につけた、睨んだものに火をつける能力というのは、いかがなもんでしょう?
吸血鬼であるクロロックと、吸血鬼と人間のハーフであるエリカの人間離れした能力が、見所のこのシリーズですが、「人間離れした人間」が出てきてしまうと、せっかく吸血鬼を使っている効果が薄くなると私は思ってしまいます。
でも、こういった話は他にもあるので、赤川次郎さんは、人間じゃないからわかる人間離れした人間の持て余した力というのを書きたいのかなぁなんて思ったり…
ちょっと違和感を感じつつも、面白いから、ついつい新しい作品に手を出してしまうんですけどね。
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