赤川次郎さんの『とっておきの幽霊 怪異名所巡り7』を読みました。
〈幽霊と話のできるバスガイド〉町田藍のところに、「うちにぁ幽霊が出る」と、ツアーの売り込みがあった。
話しを持ってきた松原周一の妹・真紀は、10年前に亡くなったが、今でも毎晩現れるという。
真紀が俳優の佐久間伸のファンだということを聞きつけたテレビ局が、真紀と佐久間の対面を生放送すると言い出した。
当然、藍が勤める〈すずめバス〉も、常連客に声をかけ、ツアーを決行することになるが…
7冊目となるこのシリーズですが、少しずつ作風が変わってきたのかな、という気がします。
と言ったものの、どこが変わったと上手く説明できないのですが、以前は恨みつらみが籠もった場所に藍が出かけていって、霊を鎮めるというパターンが多かったような気がするのですが、幽霊の方が藍の気を引いて呼び込み、自分の怨みを代わりに晴らしてもらうというパターンが増えてきたような気がします。
加害者側の心理を語るミステリは数多くありますが、被害者側の心理を語るミステリというのは、世界広しといえども、そうそう無いと思います。
表裏一体であるはずなのに、なぜかいつも無視される被害者側の心理を読まされると、得るものがあるというか、考えさせられるというか…
いつもと違った読書体験が脳に良い刺激になるのか、このシリーズが最近のお気に入りです。
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