赤川次郎さんの『帰るには遠すぎて』を読みました。
柳沢将夫は、単身赴任先から8年ぶりに我が家に帰ることに。
バスや列車の乗り継ぎが悪く、国内だというのに東京の自宅まで2時間もかかるという僻地。
バスで駅まで出るところまでは順調だったものの、列車に乗ろうとすると、まず、喫茶店を経営する野上宗和の妻・早苗が「夫の暴力に耐えられなくなった」と言って、東京まで着いてくると言い出した。
さらに、走りはじめた列車には、柳沢のために編んだセーターを手渡そうと、高校1年生の泉佐知子が乗り込んでいた。佐知子も、これが東京に出る最後のチャンスと、東京まで着いていくのだと言う。
1つめの駅に列車が止まると、警察官の姿が…
それを見た早苗は、「店から金を持ち出してきたからだ」と言う。
夫の手から逃れるために、早苗と、早苗を1人にしておけない柳沢、柳沢を追いかける佐知子は列車から降り、ただでさえ長い東京への道のりを、遠回りしはじめる。
東京までバスや列車を乗り継いで2日!というのはいったいどこなんだ? という疑問はさて置き、ただでさえ2日もかかる自宅への道のりでさまざまな問題が起き、なかなか家に帰り着けないという、「赤川次郎さん+タイトル」から容易に想像できる内容になっています。
「以上!」としても良さそうなのですが、それではあまりに芸がないのでもう少しだけ…
上にも書いたとおり、容易に内容が想像できる作品なのですが、それでも飽きさせることなく、むしろ作品の中に引っ張り込んでく力強さがあります。
「予定調和」が心地よく、安定感があります。
安心して読める作品といえば良いでしょうか。
ただ1点、ちょっと違和感を感じたのが、終盤に非現実的な要素を取り入れたこと。
こんな長い旅路であれば、そういったことも起きかねないのかな?とは思うのですが、ちょっとやり過ぎた感が…
話した相手が…程度に抑えておいた方が良かったのではなかったかな、と思いました。
物語の閉じ方も秀逸だっただけに、その1点がもったいなかったかな。
でも、読んで損はない、と言うか、赤川次郎さんのファンならぜひ読んだほうが良い作品だと思います。
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