赤川次郎『夜会』

赤川次郎さんの『夜会』を読みました。

15歳で世界水泳選手権を制した沢井聡子は、3年後自分のピークが過ぎたことを悟っていた。
コーチが世界選手権での惨敗の責任を聡子に押しつけ、別の若い子を中心にチームを組み立て直そうとしていることを耳にしてしまった聡子は、故郷の1つ手前の駅で列車を降りてしまう。
川で溺れていたお金持ちの一人息子を助けた聡子は、東京に招待される。

一方、高校生の佐山清美は、友人の間宮しのぶと男性を引っかけ、ホテルの前で写真を撮って相手から口止め料を取るという副業をしていた。
しのぶが男性を引っかける役になり、清美が2人の写真を撮ったまではよかったが、部屋の中でしのぶは白髪、シワだらけの顔になってしまい、ショックで焼身自殺をしてしまう。

聡子が助けた中学生、安永正敏の誕生日会―夜会―で、関係者が一堂に会することになる。

少女が一瞬で老女に姿を変えてしまったり、殺されても死なない男…
ホラーに分類される作品になるかと思いますが、「怖い」といった感じではありません。
何が起きているのかわからない不気味さが、読者を強く引きつけるようなそんな作品です。
特に、聡子の姉・初子の身に何が起きたのかわからないところが、ポイントだったような気がします。

少々不可解な部分もありましたが、そもそもが不可解な話なので、大きな問題ではないでしょう。

終盤に差し掛かるあたりで、ホラーの要素を取り除いても、十分楽しめる作品だったのでは?とも思いましたが、読み終わってみると、これが正解だったのではないかと。

ストーリー全体としては、聡子の成長を描いている作品なのですが、そこにスパイスを加えることで、ひと味もふた味も違った作品に仕上がっているような気がしました。

 

 

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