赤川次郎さんの『幽霊から愛をこめて』を読みました。
大宅令子は山梨の山岳地帯にある寄宿制の女子校・山水学園に編入することになったが、学園を訪れた日に山水学園の女生徒が殺害されているが発見された。
死体は何度も刃物で刺されていたが、令子は眉一つ動かさない。
令子の父は警視庁の警部で、令子は殺人現場を見慣れていたのだった。
また、東京のデパートでは、閉店後に女子高生の刺殺体が発見され、大宅警部が担当にすることになる。
令子を訪ねて来たボーイフレンドでフリーカメラマンの新村誠二は、校長から学園の様子をくまなく撮影して欲しいと依頼を受けるが、誠二は町の旅館で校長によく似た女性を見かける。
奇妙な出来事に繰り返し遭遇していく令子だったが、ついに行方不明になってしまう。
「もうひとつの幽霊シリーズ」とも呼ばれる、大宅令子が登場する作品です。
これが1作目のはずなのに、これより前に何作かあったんじゃないかと思ってしまうくらい、シリーズキャラクターとしての完成度が高いです。
この作品以前のエピソードも豊富で、読む順番を間違えてしまったのかとも思ったのですが、どうやらこれが1作目らしいということがだんだんとわかってきました。
シリーズ化を意識したようなキャラクターの設定。
この作品が生まれた背景は知りませんが、この作品を書いたときには、次回作の構想もあったのではないかと思います。
非現実的な設定、ストーリーなのですが、現実からの距離の置き方が比較的一定なので、読みやすかったです。
突然、現実的な話に戻ったり、途方もない非現実的な話に飛んでしまったりということを繰り返すと、こうはいかないのかなと。
「もうひとつの幽霊シリーズ」ということですが、本家「幽霊シリーズ」の永井夕子と似通った雰囲気を感じました。
このあたりは、意識してのことなのかはわかりませんが…
このシリーズを読破したい!と思ってしまいましたが、このシリーズは他に『幽霊たちのエピローグ』しかないようで、少々残念です。
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