東川篤哉さんの『殺意は必ず三度ある』を読みました。
多摩川流司、八橋京介、赤坂通の3人が所属する探偵部のある高校、鯉ヶ窪学園の野球部のグランドから、4つのベースが盗まれた。
「これが本当の盗塁」なんてジョークを飛ばす3人だったが、これが連続殺傷事件の幕開けだった。
ベース盗難事件から1週間ほど経った日曜日、鯉ヶ窪学園と飛龍館高校の野球部の練習試合が行われた。
場所は飛龍館高校の野球場。
低レベルな試合に決着をつけたのは、鯉ヶ窪学園主将・土山のセンターバックスクリーンへのホームランだった。
しかし、センターを守っていた選手は、フェンスを乗り越えていったかと思うと、「人が死んでるぞッ」と叫んだ。
死んでいたのは、鯉ヶ窪学園の野球部監督・野口啓次。
猿ぐつわを噛まされ、ロープでぐるぐる巻きにされた上、首筋を刃物で切られていた。
そしてなぜか、死体の傍にはボールが入ったキャッチャーミットとホームベースが置かれていた。
鯉ヶ窪学園の探偵部が活躍(?)する作品の2作目です。
探偵小説に間抜けな刑事が欠かせないのはお約束ですが、この作品、探偵役までお間抜けな面々…
これで、無事事件が解決するのかとヒヤヒヤしてしまいます。
事実、探偵部が関係者を集めての謎解きは大失敗。
事件は「延長戦」にもつれ込むことになります。
今回の事件のメインは、野球場を舞台にしたトリックですが、謎解きを聞いていくうちに頭に浮かんでくるのが、「誰がこんなまどろっこしい殺し方をするんだ?」というもの。
推理小説で「それを言っちゃお終いよ」なんですけど、そんなところまで計算し尽くされているのが、東川篤哉さんの作品らしいところ。
軽いタッチで描かれているので、ついつい流してしまったところに重要なポイントが隠されていたりと、冷静に見直してみると、十分に練られた作品であることがわかります。
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