赤川次郎さんの『シンデレラの悪魔』を読みました。
あらすじ
温泉がある小さな町に住む三枝千秋は、偶然出会った芸能プロの社長・八木原の目にとまる。
父がいない千秋は、この町では正当な扱いを受けておらず、八木原の直感に賭けて東京へ出ることを決意する。
一方、八木原の事務所に所属するアイドルの久松アキが自動車事故を起こしてしまう。
アキが出演することになっていた連続ドラマの主演は、同じ事務所の納谷しおりが務めることになるが、ロケの途中で石段から転げ落ちて亡くなってしまう。
感想
花園学園の矢吹由利子、弘野香子、桑田旭子の3人が活躍する「悪魔シリーズ」の長編9作目です。
もともと中高生向けに書き始められたためか、展開がわかりやすいのがこのシリーズの特徴です。
伏線を散りばめておいて最後に回収するというよりは、読者に「ひょっとして…」と思わせた直後に答え合わせが用意されているといった感じです。
赤川次郎さんの作品の中でも、特に力を入れずに読むことができるため、疲れているときに手にしたくなるような作品です。
『氷河の中の悪魔』でも少し思ったのですが、この作品でも主人公の3人が自ら事件に巻き込まれにいって、引っ掻き回すというよりも、事件や人間ドラマを外から傍観しているような立ち位置になっています。
犯人に迫る場面でも、これまでのようなキレやハチャメチャさが薄かった気がします。
毎回悪魔のような陰湿な人間が出てくるこのシリーズですが、今回の悪魔はおとなしかったように感じます。
陰湿に、ネチネチと人を苦しめる悪魔を、主人公の3人が爽快にやっつけるというのが、このシリーズの魅力だと思っているのですが…
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