赤川次郎『メリー・ウィドウ・ワルツ』

赤川次郎さんの『メリー・ウィドウ・ワルツ』を読みました。

刑事を辞めた並木京介は、大金持ちの未亡人・二宮綾子の夫・浪治郎が死亡した事故について調べるという仕事を持ちかけられる。
妻の美枝子と娘ののぞみを養うために、気が進まない仕事を引き受けた並木は、綾子に近づいていく。
仕事の依頼主は浪治郎の妹・狩野久子、修一夫妻で、借金で首が回らなくなっていたため、綾子が浪治郎を殺害した証拠を見つけ、遺産を横取りしたいと考えていた。

並木が綾子と会っているのを、浮気だと勘違いしたのぞみや、お手伝いの聡子に手を出す狩野、狩野と聡子の仲に気づいた娘の弥生。借金取りに追い詰められていく狩野夫妻…
それぞれの思惑が交差して、事態は思い掛けない展開を見せる。

タイトルにあるメリー・ウィドウとは、陽気な未亡人という意味だそうです。
金持ちの夫を事故で失った二宮綾子を指しているのですが、その実態は「陽気な」という言葉は似合わないようです。
人それぞれ、それぞれの立場で苦労を抱えているということがよくわかります。
その苦労に対して、どう立ち向かったかというのが、この作品で運命を分けたポイントになっているでしょうか。

この作品は、ちょっと赤川次郎さんらしくない書き方だなと感じました。
伏線の張り方であったり、逆に意図的に書かれていない部分があったり…
必要最低限の説明で済まされていたり、それすらも一部欠けていたりするところがあったので、時々ページを遡って読み返すことがありました。
また、書かれていない部分の代表格が、並木が刑事を辞めた理由でしょうか。
刑事は公務員なので、よっぽどのことがない限り辞めさせられるようなことはありませんし、(うまくいっていないとはいえ)普通に再就職活動をしているので、不祥事を起こしたということでもないようです。
そこに、秘密が隠されているのかな?とも思ったのですが、最後までその理由は明かされず…
そういった部分が他にもいくつかあったのですが、これはこれで作品の世界観を表しているのかも知れません。
 

.

 

過去の「赤川次郎」記事

 

 

 

 

 

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

 

coralの読書記録 - にほんブログ村

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました